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玄関(げんかん)1

 家の入り口のことを玄関と呼びますが、この「玄関」という言葉もともとは仏教の言葉でした。
 玄関というものが一般的なものになったのは、明治以降のことで、それまで庶民の家は、扉を開けるとすぐそこが部屋でした。当時、玄関のあったのはお寺や武家屋敷など、限られた場所だけのことだったようです。
 「玄」は「玄妙」、つまり奥深くて微妙な道理のことを言い、仏教のことを指しています。インドから中国に仏教が伝わった時、初め「禅」という言葉が無く、もともと中国の道教の言葉だった「玄」という言葉に訳したそうです。つまり「玄」は、仏教の神髄である「禅」であるのです。
 また「関」は、「関所」という言葉に見られるように「関」は入り口のことを指します。
 つまり玄関は、「玄妙なる真理に入る入り口」であり、「仏教の入り口」を意味するのです。それから転じて、お寺の入り口のことを玄関と言うようになったのです。
 ちなみに広辞苑でも、最初に「玄妙な道に入る関門」「禅学に入る端緒」「禅寺の客殿に入る門」「寺の書院の昇降口」とあり、その後にようやく「転じて、普通の人家に設けた表上り口」という意味が出てきています。
 玄関を入るとそこは、玄妙なる真理の場所です。部屋の中では靴を脱いで生活をするというのは、世界的に見ても少数派ですが、これは、日本人が家の中を神聖な場所と考えているからなのかもしれません。

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