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楹聯(えいれん)

寳泉寺の本堂の中の手前の柱に、縦に長い板に記された書が掲げられています。 この書のことを、楹聯(えいれん)と言います。
楹とは柱のことで、対で掲げられることから、双幅(そうふく)、対聯(ついれん)とも呼ばれているようです。 楹聯は、書体をかなり崩して書かれるため、なかなか一般の人には読むことができません。
寳泉寺でも、漢文の研究者に見ていただき、ようやく読むことができました。
寳泉寺本堂の楹聯には、次のような句が記されています。


《読み》
寳泉(ほうせん)萬脉(ばんみゃく)清(せい)てつの底(てい)川に重なる魚(うお)に似(に)る
玉雄山(ぎょくゆうざん)色(しき)天(てん)に輝透(きとう)し飛(とぶ)ぶ鳥(とり)の鳥(とり)の如(ごと)し

《意味》
寳泉の水脉は無限清てつで、それは川と魚の関係に似ている。
玉雄山の山容は天に輝透して、丁度鳥が飛んでいるようだ。

この楹聯は、現在の本堂が建立された時に記されたものですが、作者が誰であるかはわかっていません。当時の住職か、または当時中国から日本に来られていた高僧が、寳泉寺に立ち寄った時に書かれたものではないかと推察されます。また、寳泉寺には他に二対の楹聯があります。 ひとつは、以前の本堂の柱に掲げられていたものです。

《読み》
薫福(くんぷく)風(かぜ)に飛び美(び)の士(し)集(つど)う 寢人(しんにん)當下(とうげ)糧(りょう)を望(のぞ)むを脱(だっ)す

《意味》
香り高い福が風に飛び、善き人々が集まった。 涅槃の人ただ今食からも離れられた。

三対目は、開山堂に掲げられています。

《読み》
諦観(ていかん)の法王(ほうおう)法(ほう)は法王(ほうおう)にして法(ほう)の如し
信(しん)の道(みち)は龍象衆(りゅうぞうしゅう)に當(あた)って第一義(だいいちぎ)を観(み)る

《意味》
法王は覚者、法は法王であり、法とは覚者の教えである。
信の道では、偉大なる人が、衆人の中に真理を観る。

この二つの楹聯の作者も不詳で、いつの時代に書かれたものかも判っていません。
本堂に掲げられた楹聯同様、高僧から贈られたものだと推察されます。