1. HOME
  2. 連載記事
  3. 仏教ものしり講座
  4. 旦那(だんな)

旦那(だんな)

 「うちの旦那がね~」などと、妻が夫のことを呼ぶ時に、「旦那」という言葉を使う人は少なくありません。古くは商家の主人のことを旦那と呼んでいましたし、目の前にいる男性に話しかける時に「旦那」という言葉を使うことも多かったようです。時代劇などで、「だんな~、勘弁してくださいよ~」という台詞を聞いたことのある人は多いでしょう。また、「若旦那」という言葉も時代劇にはよく出てきます。
 また、お祭りを経済的に支えたり、街や村を経済的に支えたり、料亭などのお店を馴染みの客となって支えたりするような、粋な人たちを「旦那衆」と呼んでいました。
 この「旦那」も、もともとは、仏教の言葉です。古代インドの言葉であるサンスクリット語の「ダーナ」が、これにあたり、もともとは「檀那」と書きました。「檀家」という言葉も、このダーナから生まれた言葉です。
 意味は「与えること」で、「布施」もこのダーナの訳語であります。つまり慈悲の心をもって、欲得の心無しに、人にものや行為を施すことです。布施というと、イコールお金だと思う人もいるようですが、お金に限らず、ものを施しても布施ですし、他の人が喜ぶような行為を施しても布施と呼びます。
 ダーナはこの布施を意味したわけですが、次第に布施をする人もダーナと呼ぶようになり、それが「旦那」の語源となりました。
 お釈迦さまの時代には、お釈迦さまの説く教えに惹かれて、たくさんの人が弟子になりました。その中には、出家し、お坊さんとして生きていく者もいれば、出家せずに、この俗世間でお釈迦さまの教えを実践していこうという人もいました。
 この俗世間で教えを実践していこうとする人の多くは、経済的にも、お釈迦さまやその弟子達を支えていこうとします。つまりこのように、仏教教団を支える人たちをダーナと言ったのです。
 このダーナという考え方が現代まで伝わり、日本では「檀家」と呼ばれるようになったのです。

関連記事